Notta Brainで会議・資料を横断検索し、必要な情報をまとめる方法
Notta Brainで複数の会議録やPDFを横断検索し、質問の作り方、対象の絞り方、根拠確認、共有メモ化までを実務例つきで解説します。

目次
会議を録音し、要約まで作れるようになると、次に重くなるのは「過去のどこで話したかを探す仕事」です。議事録が十本、二十本と増えるほど、記録は残っているのに、必要な決定へすぐ戻れなくなります。
Notta Brainは、複数の議事録を横断的に分析・要約し、対象のフォルダー、録音データ、PDFなどを選んで質問できると公式に案内されています。ただし、資料を全部選んで「まとめて」と頼むだけでは、長い要約が一つ増えるだけです。
この記事で完成させるのは、一つの業務テーマについて、過去の決定・変更・未決事項・根拠を一枚にまとめる検索手順です。検索結果を正式記録だと思わず、元の会議や資料へ戻れる状態まで作ります。
同じ案件の決定が複数の会議に散らばり、変更理由も追いにくい。
期間、案件、資料種別を決め、検索対象だけを選ぶ。
決定、変更、未決、要確認を分け、元記録へ戻れる。
最初に答え
先に「何を決めるための検索か」を一文にし、対象を案件・期間・資料種別で絞ります。回答には、結論だけでなく元記録、会議日、根拠箇所、不明点を付けるよう指定します。
横断検索の価値は、もっともらしい答えを得ることではなく、読むべき記録を短時間で特定できることにあります。
横断検索が役立つのは、記録が増えてから
一回の会議を要約するだけなら、通常のAI要約で十分です。横断検索が役立つのは、同じ案件について定例、顧客商談、社内レビュー、提案資料が分かれているときです。
たとえば「価格改定をいつ、誰が、どの条件で了承したか」を確かめたい場合、最新会議だけでは経緯が分かりません。最初の提案、顧客からの懸念、社内承認、最終決定が別々の記録に残っているからです。人が一件ずつ読むと、似た表現を見落としたり、古い決定を最新だと思ったりします。
一方、月に一回の短い会議しかなく、議事録の置き場所と題名がそろっているなら、新しい検索機能を増やす必要はありません。まずはフォルダーと命名を整え、通常のファイル検索で足りるか確認します。
通常検索で十分
記録が少ない
月数件で、会議名と日付がそろい、目的の記録をすぐ開ける。
横断検索を試す
経緯が散らばる
同じ案件の決定、変更、宿題が複数の会議や資料にまたがる。
導入を止める
保存条件が合わない
録音や顧客資料を社外クラウドへ置けず、承認された環境もない。
検索前に記録の名前をそろえる
AIは、ばらばらの資料名を完全には直してくれません。「定例」「打合せ」「MTG」のように同じ種類の会議が違う名前で残り、顧客名も略称と正式名が混ざっていると、対象選択の段階で漏れます。
最低限、次の四つを記録名または属性としてそろえます。
- 会議日
- 案件名または顧客名
- 会議の種類
- 記録の状態(下書き、確認済み、正式)
例は「2026-08-22/A社/提案レビュー/確認済み」です。録音データ、文字起こし、PDFで同じ案件名を使います。後から検索しやすいだけでなく、似た案件を誤って対象に含める事故も減らせます。
正式版とAI下書きを同じフォルダーに混ぜる場合は、状態を必ず付けます。横断回答に古い下書きが使われても、読み手が気づけるようにするためです。
4段階で必要な情報をまとめる
1. 「調べたいこと」ではなく「決めたいこと」を書く
「A社についてまとめて」では範囲が広すぎます。「次回提案で価格条件を再提示する前に、過去の合意、変更要求、未回答の質問を確認する」のように、検索後の判断まで書きます。
決めたいことが明確なら、不要な会社紹介や会議全体の要約を省けます。質問を作る担当者と、回答を読む担当者が違う場合は、読み手の役職も添えます。
2. 対象を案件・期間・資料種別で絞る
最初から全記録を選びません。対象案件を決め、期間を直近三か月にし、資料種別を顧客商談と社内レビューに絞ったうえで、確認済み資料だけを選びます。足りなければ後から広げます。
PDFを含める場合は、その資料が最新版か確かめます。会議録と提案書で数値が違うとき、AIにどちらが正しいか決めさせず、「差異」として出させます。
3. 答えの欄と根拠の形式を指定する
次の指示文を起点にできます。
選択した記録だけを使い、A社への次回提案準備メモを作ってください。出力は(1)確認済みの決定、(2)後から変更された内容、(3)まだ決まっていない内容、(4)次回確認する質問、(5)数値・固有名詞の要確認に分けます。各項目に、元の会議名、日付、根拠となる記録を添えてください。資料間で内容が違う場合は統合せず、差異として並べてください。記録にない理由や担当者を推測しないでください。
質問を分割する方法も有効です。最初に決定事項だけ、次に変更履歴だけ、最後に未決事項だけを聞くと、回答の抜けに気づきやすくなります。
4. 重要箇所だけ元記録へ戻る
回答全文を信じるのではなく、次の順で元記録を開きます。
- 金額、数量、日付、期限
- 顧客名、商品名、担当者
- 決定と提案の区別
- 最新の変更
- 次回の約束
発言者の意図や、顧客がなぜ反対したかは、要約だけで断定しません。発言時刻や前後の文脈へ戻り、確認できなければ「推測」として分けます。
架空の案件を横断検索した完成例
ここでは、A社向け業務管理システムの提案を三回の会議と一つのPDFから確認した例を示します。
- 決定
- 初期導入は営業部20名を対象にする。7月18日提案レビュー、顧客発言を確認済み。
- 変更
- 開始希望は9月から10月へ変更。8月5日商談では「社内審査後」とされ、確定日は未設定。
- 未決
- 管理者権限を持つ人、データ移行の範囲、サポート窓口の三点。
- 質問
- 10月開始を判断する社内審査日はいつか。管理者候補は情報システム部か営業企画か。
- 要確認
- 提案PDFの月額と8月5日商談の発言額が異なる。正式見積もりを営業責任者が確認する。
共有前の確認:20名、10月、見積金額、権限担当。確認できない項目は空欄を埋めず、次回質問へ残します。
この形式なら、上司は案件の全履歴を読まなくても、何が確定し、何を次に聞くか分かります。AIの回答をそのまま顧客へ送るのではなく、社内の準備メモとして使うのが最初の用途です。
うまく検索できないときの直し方
回答が長すぎる
対象資料を減らし、出力欄ごとの件数を指定します。「重要度が高い順に最大五件」「金額と期限に関わるものを優先」とすると、読む量を減らせます。
古い決定が混ざる
日付を付けて「後の記録で変更された場合は旧決定と最新状態を分ける」と指示します。最新資料だけに絞ると変更理由が消えるため、旧決定を削除するのではなく履歴として残します。
根拠が見つからない
元記録名と日付を必須にし、示せない項目は「根拠未確認」へ送ります。検索結果にリンクがあっても、リンク先の文章が本当に主張を支えているかは人が確認します。
同名の会社や案件が混ざる
会社名だけでなく、案件コード、部署、期間を対象条件へ入れます。資料名に案件コードを付けられるなら、横断検索を始める前に整理します。
共有メモに残す確認欄
- 検索目的が一文で書かれている
- 対象の案件、期間、資料種別が記録されている
- 決定、変更、未決、質問が分かれている
- 数値と期限を元記録で確認した
- 古い下書きと正式版を区別した
- 推測を事実として書いていない
- 閲覧権限のない相手へ共有していない
- 次回の確認担当と確認日が決まっている
このチェック欄を回答の末尾へ付ければ、検索担当者が変わっても確認水準をそろえられます。横断検索は、記録を自動で正解へ変える機能ではありません。必要な根拠へ戻る道を短くする機能です。
まず一案件、一か月分で試す
最初のテストでは、全社の会議を入れません。既に保存が許可されている一案件、一か月分、五〜十件ほどを対象にします。人が手作業で作った準備メモと比べ、検索時間、見落とし、根拠確認にかかった時間を記録します。
検索時間が減っても、根拠確認が増えすぎるなら対象や質問が広すぎます。反対に、会議前の準備が短くなり、古い決定を誤って使うことが減ったなら、次の案件へ広げる価値があります。まずはこの手順だけで、横断検索が自分たちの記録量に合うかを確かめられます。