AI議事録の作り方|録音から要約・決定事項・ToDoまで整理する
AI議事録を録音、文字起こし、要約、決定事項、担当者付きToDoへ変える6段階の手順を、確認ポイントと出力例つきで解説します。

会議中、発言を聞きながらメモを取り、終了後に録音を聞き直して清書する。これでは「AIを使っている」のに、会議後の仕事はあまり軽くなりません。
AI議事録で先に変えるべきなのは、文章を書く速さではなく、録音を決定事項と担当者付きToDoへ変える流れです。文字起こしが完成しても、議事録はまだ半分。決まったこと、決まらなかったこと、誰が何をいつまでに行うのかを分け、人が確認して初めて仕事で使えます。
この記事では、次の会議からそのまま試せる6段階の作り方を説明します。特定の有料サービスを契約していなくても、すでに会社で使っている会議ツールと生成AIで始められます。
決定事項と宿題を探すため、会議後にもう一度内容を読み直している。
話者と時刻を残した記録を、決めた4項目の型へ渡す。
決定・保留・担当者付きToDo・要確認に分かれ、人が要所を確認できる。
最初に答え
録音前に共有形式を決め、文字起こしを「決定・保留・ToDo・要確認」の4項目へ変換し、最後に人名・数字・期限など、間違えると困る箇所を原音と照合します。
全文をきれいに清書するより、確認箇所を先に絞る方が短時間で実用的な議事録になります。
AI議事録は6段階で作る
AIに「議事録を作って」と一度だけ頼むと、読みやすい要約は出ても、決定と提案が混ざりやすくなります。工程を分けると、どこで間違いが起きたのかも追いやすくなります。
1. 録音する前に、参加者と使い方をそろえる
最初に決めるのはAIの設定ではありません。録音すること、文字起こしや要約に使うこと、誰に共有するかの3点です。
Google MeetやMicrosoft Teamsには、会議中の文字起こし機能と参加者への通知があります。ただし、録音と文字起こしは別の機能で、利用できるプランや管理者設定も異なります。原音照合を行う場合は、参加者への説明と社内規程に沿って録音も有効にしてください。機能上の通知が表示されることと、社内ルールや参加者への説明が十分であることは別です。顧客との商談、採用面接、人事面談など、扱う情報が重い会議では、会社が許可したツールと保存先を先に確認します。
会議の冒頭では、たとえば次のように短く伝えます。
議事録作成のため、この会議を文字起こしします。要約は参加者だけに共有し、正式版は担当者が内容を確認します。録音できない内容があれば始める前に教えてください。
録音を始めてから用途を考えると、保存先や削除期限が曖昧になります。毎回同じ説明文を会議テンプレートに入れておくと、担当者が変わっても運用がぶれません。
2. 音声を「あとで確認できる状態」で残す
文字起こしの精度は、AIの性能だけでなく音声の取り方に左右されます。会議室で一台のマイクから遠い人が話す、複数人が同時に話す、固有名詞を早口で言う、といった状況では誤変換が増えます。
次の4点だけでも、後工程がかなり楽になります。
- オンライン参加者は可能なら各自のマイクから話す
- 会議室では発言者が分かるよう、名前を呼んでから話題を振る
- 商品名、会社名、人名は初出時にゆっくり発音する
- 決定するときは「では、○○で決定します」と言葉にする
AIに文脈から推測させるより、会議中に決定を明示する方が確実です。このひと言は人が聞いても分かりやすく、会議運営そのものの改善にもなります。
3. 文字起こしは全文清書せず、話者と時刻を残す
文字起こしの段階では、助詞や言い直しをすべて直す必要はありません。あとで原音へ戻れるよう、話者名と時刻情報を残す方が重要です。
誤変換を見つけても、ここで全文を手修正すると時間がかかります。まずは次の項目だけ直します。
- 会議の主題になる固有名詞
- 参加者の氏名と部署名
- 金額、数量、日付
- 同音異義語によって意味が逆になる箇所
その後、未修正の文字起こしと会議情報を生成AIへ渡します。社外AIへ入力できない情報が含まれる場合は、会社が承認した環境だけを使ってください。入力前に顧客名や個人情報を仮名へ置き換える方法もありますが、社内規程の代わりにはなりません。
4. 要約ではなく、4項目を別々に出す
長い文章を短くするだけでは、行動につながる議事録になりません。AIには、出力欄と分類ルールを指定します。
出力する4項目
- 決定事項
- 会議内で明確に合意した内容だけ。提案や多数意見は含めない。
- 保留事項
- 結論が出ていない論点。次に何が分かれば決められるかも添える。
- ToDo
- 行動、担当者、期限の3点を一組にする。欠ける項目は「未設定」とする。
- 要確認
- 聞き取りづらい発言、数字、固有名詞、発言同士の矛盾を時刻つきで示す。
使い始めの指示文は、次の程度で十分です。
以下は会議の文字起こしです。創作や補完をせず、(1)決定事項、(2)保留事項、(3)担当者と期限を含むToDo、(4)原音確認が必要な箇所に分けてください。決定したと断定できない内容は保留事項へ入れてください。担当者または期限が発言されていない場合は「未設定」と書き、推測しないでください。各項目には根拠となる発言時刻を添えてください。
「うまくまとめて」ではなく、分からないものを分からないまま残すよう指示するのがポイントです。空欄をAIがそれらしい内容で埋めると、読みやすくても危険な議事録になります。
完成形はこの状態にする
次は架空の定例会議を、この指示文で整理した例です。AIが作った文章をそのまま完成品にせず、どこを人が確かめるかまで残しています。
- 決定
- 9月のウェビナーは「初めての業務AI」をテーマにする。根拠時刻 18:42。
- 保留
- 配信サービスは費用比較後に決める。比較担当と判断日はまだ決まっていない。
- ToDo
- 田中さんが8月29日までに告知ページの構成案を作る。根拠時刻 21:16。
- 要確認
- 参加目標が「50社」か「50人」か不明。14:08の原音を確認する。
人が確認する箇所:テーマ名、期限、担当者、参加目標。確認後にToDoだけをタスク管理へ移します。
5. 全文ではなく、間違えると困る箇所を照合する
AIの出力を一文ずつ録音と比べていたら、自動化の意味が薄れます。人による確認を省くのではなく、確認する箇所を先に絞るのがコツです。
優先順位は次の通りです。
- 金額、件数、日付、期限
- 顧客名、商品名、人名
- 「決定」と「提案」の区別
- 担当者と作業内容の組み合わせ
- 外部へ共有できない情報
AIが「来週金曜」と書いた場合は、共有時点で具体的な日付へ直します。「営業側で対応」のように担当が部署だけの場合は、責任者を決めるまでToDoを完了扱いにしません。
要確認欄に時刻があれば、録音全体を聞き直さず該当部分だけ再生できます。これが、話者と時刻を文字起こしに残す理由です。
6. 議事録とタスクの置き場所を分ける
完成した議事録をチャットへ貼るだけでは、数日後にToDoが流れてしまいます。
- 決定事項と背景は、会議ノートや社内Wikiへ
- 担当者付きToDoは、普段使うタスク管理や案件管理へ
- 未設定の担当者・期限は、次の確認待ち一覧へ
- 録音と生の文字起こしは、閲覧権限と削除期限を決めた場所へ
AIがタスク管理ツールへ直接登録できる場合でも、最初の数回は下書きまでに止めます。出力の癖が分かってから、人の承認後に登録する範囲を広げる方が安全です。
そのまま使える議事録テンプレート
会議ごとに形式を変えると、参加者はどこを見ればよいか迷います。以下を固定し、不要な欄だけ削除する運用にします。
| 欄 | 書く内容 | 書かない内容 |
|---|---|---|
| 会議情報 | 日時、目的、参加者、記録担当 | 会議と無関係な参加者情報 |
| 3行要約 | 議論の結論と次の焦点 | 発言順の長い説明 |
| 決定事項 | 明示的に合意した内容、根拠時刻 | 有力だっただけの案 |
| 保留事項 | 未決の理由、判断に必要な情報 | 誰も扱わない雑談 |
| ToDo | 行動、担当者、具体的な期限 | 「検討する」だけの表現 |
| 要確認 | 数字、固有名詞、矛盾、時刻 | AIが勝手に補った答え |
たとえば「A案で進める方向です。費用を見て最終判断します」という発言は、決定事項ではなく保留事項です。一方、「A案で決定し、田中さんが8月29日までに見積もりを取る」なら、決定事項とToDoの両方へ入ります。
専用ツールが必要かを判断する
最初から新しいサービスを増やす必要はありません。Google MeetやMicrosoft Teamsなど、すでに契約している会議環境に文字起こし機能があるなら、まず月2〜3回の会議で手順を試します。
既存ツールで始める
会議が少ない
短い定例が中心で、会議ごとの要約だけあれば足りる。社内で許可された環境を増やしたくない。
専用ツールを比較する
記録が増えてきた
複数会議をまたいで過去の決定を探す、同じテンプレートで大量に整理する機会が多い。
導入を止めて確認する
保存条件が合わない
録音や顧客情報を社外クラウドへ置けない。管理者が保存先、権限、削除方法を確認できていない。
専用ツールを比較するときは、文字起こし精度のデモだけで判断しないでください。日本語の話者識別、専門用語の登録、要約テンプレート、元の音声の該当箇所への戻りやすさ、複数記録の検索、保存期間、管理者設定を見ます。
1回の会議で整理時間が数分短くなるだけでも、会議数が多い部署では積み上がります。反対に月一回の短い会議なら、新しいアカウント管理や教育の方が重くなることもあります。毎月の会議本数 × 会議後の整理時間を導入前と導入後で測ると、派手な機能に引っぱられません。
失敗しやすい3つの運用
AIの要約をそのまま正式記録にする
生成AIは、話されていない担当者や理由を文脈から補うことがあります。読みやすさと正確さは別です。正式版には確認者と確認日を残し、少なくとも数字・期限・固有名詞・決定事項を人が見ます。
会議ごとに違う指示文を使う
担当者ごとにプロンプトが違うと、議事録の品質も変わります。最初の指示文、出力テンプレート、確認チェックリストを一つの文書にして共有します。改善するときも全員で同じ版へ更新します。
録音は残すが、削除時期を決めない
録音は便利ですが、会話の全情報を含む重いデータです。共有済みの議事録と原音を同じ期間残す必要があるかを考え、組織の規程に沿ってアクセス権と削除時期を設定します。
次の会議で行うチェックリスト
- 録音とAI利用を参加者へ説明する文を用意した
- 会社が許可した録音・文字起こし環境を確認した
- 決定・保留・ToDo・要確認の4項目をテンプレートにした
- AIに推測させず「未設定」と書かせる指示を入れた
- 人名、数字、期限、決定の確認担当を決めた
- 議事録とタスクを置く場所を決めた
- 会議後の整理に何分かかったか記録する
まず一つの定例会議で、この手順を2〜3回繰り返してください。うまくいかないときは高性能なツールへ替える前に、録音品質、会議中の決定の言い方、出力欄の設定のうち、どこで詰まったかを確認します。
AI議事録の目的は、発言をきれいな文章へ変えることではありません。会議で決めたことを、次の行動へ迷わず渡せる状態にすることです。
繰り返せたら、次は「任せる」へ進む
最初の2〜3回は、AIの出力を下書きとして人が確認します。決定・保留・ToDo・要確認の分類が安定したら、次の順で手作業を減らします。
任せない方がよいのは、何が最終決定かを判断すること、発言者の意図を推測すること、機密情報を扱う会議の保存可否を決めることです。会議数が少なく、今のメモでToDoを漏れなく管理できているなら、専用ツールや自動連携を増やす必要もありません。まず一つの仕事を確実に軽くし、繰り返す価値が見えた部分だけを次の段階へ進めます。
参考資料・出典
機能や保存条件は変更されることがあります。導入時は利用中のプランと組織の規程を公式情報で確認してください。
- Google Meetで文字起こしを使用する(確認日:2026年8月22日)
- Microsoft Teamsで通話を録音・文字起こしする(確認日:2026年8月22日)
- テンプレートからAI要約を生成する(Notta)(確認日:2026年8月22日)
- Notta Brain 初心者ガイド(確認日:2026年8月22日)