AIで競合調査レポートを作る方法|比較軸・一次情報・結論の出し方
AIで競合調査レポートを作る手順を解説。自社の意思決定から比較軸を決め、公式の一次情報を優先し、事実・解釈・不明点を分けて結論までまとめます。

目次
競合三社をAIで調べると、数ページのレポートは作れます。会社概要、製品、価格、ニュース、強み、弱みが並び、情報量は十分に見える。それでも企画会議で「では、自社は何を変えるのか」と聞かれると、答えが出ないことがあります。
原因は、調査量ではなく入口です。競合調査は、会社紹介を三社分並べる仕事ではありません。自社が何を決めるために、どの軸で、どの時点の情報を比べるかを先に決めます。
Deep researchは、公開ウェブ、アップロードしたファイル、利用可能な接続先を調べ、計画を確認・修正し、引用またはソースリンク付きのレポートを作れると案内されています。複数の情報源をまとめる仕事には向きますが、引用が付いた結論をそのまま社内判断に使うのではなく、重要な主張を一次情報へ戻って確かめます。
その競合調査で、自社は何を決めますか?
「競合を知る」では広すぎます。「新しい法人向けプランの価格帯を決める」「無料トライアルへ入れる機能を決める」「営業資料で比較する軸を決める」のように、一つの判断へ絞ります。
競合調査の順番
意思決定 → 比較軸 → 対象と時点 → 一次情報 → 比較表 → 事実・解釈・不明点 → 結論
分からない項目は推測で埋めません。どこを見ても確認できなかったかと、次に確かめる方法を残します。
自社が決めることから始める
最初に、読み手と意思決定を一文にします。
架空の例なら、「事業責任者が、法人向け新プランの初期機能と価格帯を決めるため、国内の競合三社を比較する」です。これで必要な情報が、会社の歴史ではなく、対象顧客、機能範囲、価格体系、試用条件、導入支援へ絞れます。
意思決定を一つにしたら、「今回調べないこと」も決めます。採用、財務、海外展開が判断に不要なら、レポートへ広げません。Deep researchは複雑で多段階の問いに向きますが、価格を一つ確認するだけなら通常検索と公式ページで十分です。
商談前に一社を調べ、確認済み事実から質問を作りたい場合は、商談前の企業調査を一枚にまとめる方法が先です。この記事は、複数社を同じ条件で比べ、自社の判断へ変える場面に絞ります。
比較軸は四つまでに絞る
比較軸を多くすると詳しい表になりますが、結論は出しにくくなります。最初は四つまでに絞ります。
たとえば、法人向けSaaSの初期プランを考える架空の調査なら、次の軸が候補です。
- 対象顧客と主な利用場面
- 初期プランに含む機能
- 価格体系と課金単位
- 試用、導入支援、契約の入口
「使いやすさ」「知名度」「サポートが手厚い」など、根拠をそろえにくい軸は、そのまま使いません。使いやすさなら、初期設定の手順、管理画面でできること、導入支援の有無など、確認できる項目へ分けます。
調査中に新しい軸が必要になった場合は、一社だけに追加しません。全社を同じ条件で調べ直します。そうしないと、情報が見つかりやすい会社ほど高く評価されます。
対象・時点・地域をそろえる
同じサービス名でも、個人向けと法人向け、国内と海外、月額と年額、旧プランと新プランで条件が違います。比較表の上に、次を明記します。
- 対象製品・プラン
- 対象地域と言語
- 個人向けか法人向けか
- 月額・年額など比較する支払単位
- 情報を確認した日
- 税の扱い
三社を、本当に同じ時点と条件で比べていますか?
一社は現行の法人ページ、別の一社は古い比較記事、もう一社は検索結果の要約という状態では、表の形がそろっていても比較になりません。確認日と出典を各行に記録し、対象が違う場合は値をそろえず「対象外」「要確認」と書きます。
キャンペーン価格と通常価格、無料トライアルと無料プランも分けます。期間限定の条件は確認日と終了条件を記録し、レポートの結論を割引だけへ寄せません。
一次情報を優先する
情報源には順番を付けます。
- 公式の製品ページ、料金ページ、ヘルプ、規約、セキュリティ資料
- IR、決算資料、官公庁・公的機関の資料
- 公式発表、公式ブログ、公式の顧客事例
- 報道機関や業界資料
- 比較記事、レビュー、検索結果の要約
二次情報は、論点や候補を見つける補助に使えます。価格、機能、規約、サポート条件を確定するときは、公式の一次情報へ戻ります。
顧客事例も、その会社が紹介する一つの事例です。同じ成果が一般に起きるとは書きません。競合の売上、戦略、社内事情を公開情報だけで推測し、事実の欄へ入れないようにします。
引用を開いたときは、次を確認します。
- 対象企業・製品が合っているか
- 公開日・更新日が古すぎないか
- 対象地域・プランが一致するか
- 引用した文の前後が、AIの主張を支えているか
- 推測、予定、実績のどれか
引用があることと、引用が主張を支えていることは別です。リンク先を開かず、引用数だけで信頼性を判断しません。
AIには調査計画を先に出させる
Deep researchを使う場合は、いきなり実行せず、調査計画を確認します。公式の案内では、開始前に提案された計画を見直し、実行中も調査の焦点や参照する情報源を調整できると説明されています。
目的: 事業責任者が法人向け新プランの初期機能と価格帯を決める
対象: 国内で法人向けに提供する競合A・B・Cの現行プラン
比較軸: 対象顧客、初期機能、価格体系、試用・導入支援
対象時点: 2026年8月29日時点
優先資料: 各社の公式製品ページ、料金、ヘルプ、規約、セキュリティ資料
除外: 採用、海外限定プラン、出典のない市場規模、競合の非公開戦略の推測
出力: 一枚の比較表、差の要約、自社への影響、推奨行動、未確認点
必須: 重要主張ごとに出典URL、確認日、対象範囲を付ける
禁止: 確認できない項目を推測で埋めない
計画に比較軸と関係のない調査が多ければ削ります。逆に、価格の税、対象地域、旧プランとの区別が抜けていれば追加します。短い確認を挟む方が、長いレポートを受け取ってから全体をやり直すより楽です。
接続済みアプリやアップロード資料を使う場合は、利用できる権限の範囲だけを対象にします。Deep researchが接続先の権限を越えて情報を取得するわけではありません。社内の非公開資料を混ぜる場合は、公開ウェブの情報と欄を分け、共有先も確認します。
比較表に事実・解釈・不明点を持たせる
値だけの表では、どこまで確認したか分かりません。各項目に次の四つを持たせます。
| 欄 | 書く内容 | 避けること |
|---|---|---|
| 確認済み事実 | 公式情報で確認できた値・条件 | 評価語や原因の推測を混ぜる |
| 解釈 | その差が自社の判断へ与える意味 | 競合の意図を断定する |
| 不明点 | 公開情報で確認できなかった項目 | 空欄を平均値や推測で埋める |
| 次に確認 | 問い合わせ、デモ、追加資料で確かめること | 確認者と期限を決めない |
スマホでは表を横にスクロールできます。
分からないことを残すのは、調査不足の告白ではありません。意思決定に影響する不明点を見える形にすることです。不明点が結論を変えるなら、推奨を条件付きにします。
比較表へ点数を付ける場合は、基準と重みを先に決めます。「機能が多いから5点」「有名だから高評価」といった後付けをしません。点数がなくても判断できるなら、差と意味を文章で示す方が自然です。
結論は差・意味・次の行動で書く
競合調査の結論を「A社が優れている」で終えません。自社が決めることへ戻り、次の順に一枚へまとめます。
- 確認できた差:同じ条件で比べたとき、何が違うか
- 自社への意味:その差が対象顧客、機能、価格、販売へどう影響するか
- 推奨行動:自社は何を試す、残す、変えるか
- 成立条件:どの前提なら推奨が成り立つか
- 残る不明点:結論を変える可能性がある未確認事項
架空のまとめなら、次のようになります。
三社とも法人向けの入口はあるが、初期プランに含まれる管理機能と、導入支援の範囲が違う。自社が小規模チームを主対象にするなら、機能数を増やすより、試用から本契約へ移る条件を分かりやすくする方が判断を助ける可能性がある。次に、想定顧客五社へ必要な管理機能を確認し、価格帯は通常価格と年額条件をそろえて再比較する。
この例では、競合の意図や自社の成功を断定していません。確認できた差から仮説を作り、次の調査や顧客確認へ進めています。
出典管理は主張の近くで行う
レポート末尾にURLを大量に並べるだけでは、どの主張を支えるか分かりません。重要な主張ごとに、内部作業用として次を残します。
- 主張
- 出典タイトルとURL
- 公開日・更新日・確認日
- 対象企業、製品、プラン、地域
- 該当箇所の短い要約
- その出典だけでは分からないこと
引用文を長くコピーせず、必要な要点を自分の言葉でまとめます。社内共有用のレポートでも、出典の利用条件と引用範囲を確認します。
AIのレポートをPDFやWordへ書き出せても、出典の更新は自動ではありません。価格や機能を含む調査は、会議日や公開日前に重要項目を再確認します。時間がたったレポートには「2026年8月29日時点」のように時点を明記します。
非公開情報と個人情報を混ぜない
競合調査では公開ウェブだけでなく、営業メモ、顧客の声、社内資料を使う場合があります。公開情報と非公開情報を同じ依頼へ入れる前に、利用権限、保存先、共有先を確認します。
OpenAIはBusiness、Enterprise、APIのビジネスデータをデフォルトでモデル学習に使わないと案内しています。ただし、自社の契約と規程が該当するか、接続先を有効にしてよいかは別の判断です。
個人名、メールアドレス、商談の秘密、顧客固有の条件は、競合比較に不要なら入力しません。内部資料を使う場合は、公開情報と欄を分け、「外部共有不可」などの扱いを明確にします。競合企業へ身分を偽って情報を得たり、アクセス権のない情報を集めたりしません。
一枚で会議へ渡す
最終レポートは、長さより判断の順番を優先します。最初の一枚に次を置きます。
目的
自社が決めること
読み手、意思決定、対象範囲を一文にします。
比較
四つまでの軸
同じ製品範囲、地域、時点で並べます。
根拠
重要な差と出典
一次情報と確認日へ戻れるようにします。
判断
自社への意味
差が対象顧客や提案へ与える影響を書きます。
次
推奨行動と不明点
次に誰が何を確かめるかを決めます。
調査の依頼文、計画、引用検証を汎用的に学びたい場合は、Deep Researchを仕事で使う一連の手順も確認できます。調査全体の進め方はリンク先で、複数社を比べて結論を出す手順はこの記事で扱っています。
次のテーマでも再現できるか確かめる
一つの競合レポートができたら、別のテーマで比較軸と引用確認をやり直します。最初から長いレポートを作らず、二社または三社、四つまでの軸、一枚の結論で十分です。
別のテーマでも、比較軸と引用確認を自分でやり直せそうですか?
同じ時点と条件をそろえ、重要な主張から一次情報へ戻れるなら、まず独学で続けられます。同じ場所で止まるなら、止まる理由に合う学び方を選びます。
複数のAIツールや仕事を広く学び、自分で調査の順番を組みたいなら、DMMが候補になります。作った比較表や結論を見ながら、どこを直すか個別に相談したいならbyTechも比較候補です。どちらにもこの記事と同じ競合調査の課題が必ずあるとは限らないため、説明会では自分の成果物を例に、質問・添削の範囲を確認します。
競合調査の価値は、情報を多く集めたことではなく、自社が次に何を確かめ、何を決めるかが見えることです。確認できた事実と残る不明点の両方が一枚にあれば、AIの調査結果を企画会議へ持ち込めます。
参考資料・出典
価格、機能、規約、サポート条件は各社の公式情報で確認します。公開情報でも確認日と対象範囲を残し、AIの推測を事実として扱わないでください。
- Deep research in ChatGPT(確認日:2026年8月29日)
- OpenAIにおけるエンタープライズプライバシー(確認日:2026年8月29日)